虫歯を防ぐには毎日のケアに加えて、プロによる専門的な清掃を受けることも大切です。
今回は日本人の歯磨き事情や、高齢者の方が抱える虫歯リスクについて解説します。
日本歯科医師会が推進する「8020(はちまるにいまる)運動」とは
8020運動とは、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
1989年以降、厚生省(現:厚生労働省)と日本歯科医師会が推進しています。
「20本以上の歯があれば満足に食事できる」といわれているため、「歯を20本以上残そう」と目標が掲げられています。
食事を自分の歯で噛んで食べられる喜びは、生きる活力にもつながるでしょう。
つまり、生活の質を高めるには、口腔ケアを怠らずに1本でも多く歯を残すことが重要です。
なお、20本以上自分の歯を有する方の割合は、次のように推移しています。
1993年 | 1999年 | 2005年 | 2011年 | 2016年 | 2022年 | |
45~49歳 | 88.1% | 90.0% | 95.0% | 97.1% | 99.0% | 97.9% |
50~54歳 | 77.9% | 84.3% | 88.9% | 93.0% | 95.9% | 95.5% |
55~59歳 | 67.5% | 74.6% | 82.3% | 85.7% | 91.3% | 94.9% |
60~64歳 | 49.9% | 64.9% | 70.3% | 78.4% | 85.2% | 89.3% |
65~69歳 | 31.4% | 48.8% | 57.1% | 69.6% | 73.0% | 81.4% |
70~74歳 | 25.5% | 31.9% | 42.4% | 52.3% | 63.4% | 72.1% |
75~79歳 | 10.0% | 17.5% | 27.1% | 47.6% | 56.1% | 55.8% |
80~84歳 | 11.7% | 13.0% | 21.1% | 28.9% | 44.2% | 45.6% |
85歳~ | 2.8% | 4.5% | 8.3% | 17.0% | 25.7% | 38.1% |
参考URL:日本歯科医師会|「8020(ハチマルニイマル)運動」とは?
日本人の歯磨き事情
参考として、日本人の歯磨き事情をご紹介します。
ライオン株式会社の調査によると、オーラルケアとして「フロスやリンスも使うのは当たり前」と考える人の割合は
- 日本……10.8%
- アメリカ……40.9%
- スウェーデン……30.6%
となっており、日本では少数派です。
日本では51.3%の方が「ブラッシングだけで充分(どちらかといえばそう思うを含む)」を選択しました。
さらに、歯科医での定期健診の受診回数に関して、日本は「受けていない」が最多です。
直近1年間の歯科医での健診受診回数について、次のようなデータが発表されています。
日本 | アメリカ | スウェーデン | |
受診したことはない | 57.5% | 35.1% | 32.4% |
1回 | 19.1% | 20.5% | 57.1% |
2回 | 11.3% | 34.9% | 8.4% |
3回 | 5.0% | 5.1% | 1.2% |
4回 | 2.6% | 2.3% | 0.4% |
5回 | 1.0% | 0.7% | 0.0% |
6回以上 | 3.4% | 1.6% | 0.5% |
参考URL:ライオン株式会社|【日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.1】
高齢者の方は虫歯になりやすい
どの年代の方でも虫歯になるリスクがありますが、高齢者の方は特に虫歯になりやすいです。
- 長年の食事により歯がすり減っている
- 加齢に伴い歯ぐきが下がっている
- 歯の隙間に食べかすや歯垢がたまりやすい
- 唾液分泌の能力が低下することで口腔環境が悪化する
高齢者の方は長年の食事や歯ぎしりによって、歯の表面を覆うエナメル質が減少しているケースが多いです。
歯のすり減りが進行すると象牙質が露出し、知覚過敏や虫歯の原因となります。
年齢を重ねるにつれて歯ぐきは下がり、歯と歯の間に隙間ができます。
その隙間に食べかす・歯垢がたまると、虫歯や歯周病、肺炎になるリスクが高まるので要注意です。
毎日の歯磨きにどれだけ時間をかけていますか?
1本1本磨くように意識すると、思ったよりも時間がかかるんです!
歯磨きは難しい!プロによる定期的なメンテナンスを受けましょう
日常のセルフケアだけでは、歯のトラブルを完全に防ぐことは難しいです。
どれだけ時間をかけて磨いても、どこかに磨き残しがあるもの。
できるだけ長く食事を楽しむために、定期健診で専門的なお口の清掃を受けましょう!