野口医院
2020-8-31

8月のレコードギャラリー(リー・コニッツ)




今月は、追悼、クールジャズで独創的な即興演奏家リー・コニッツです。

 『アルト・サックス奏者のリー・コニッツが、現地時間4月15日(水)にニューヨークの病院で亡くなった。92歳だった。彼の息子ジョシュによると、死因は新型コロナウイルスによる肺炎だったという。』ニュースが入って来ました。
 今から約20数年前、彼が70歳で日本に単独で来日した時にツァーに関わる機会となりました。有るライブで日本のメジャーなドラマーとのDuoでした。2部構成での企画でしたが、どうも相性が悪かったのか?1部で終了しました、耳にティシュで栓をして演奏を止めてしまいました。彼らしい即興演奏家としての拘りからなのか、何よりも、コニッツは即興演奏であるアドリブに全力投球した人でした、今も記憶に残っています。
 リー・コニッツは1927年にシカゴで生まれ、孤高のピアニストと言われるレニー・トリスターノの弟子からのスタートでした。トリスターノは1940年代に黒人のビ・バップに対抗して、非常に理詰めに考えられた“クール”な音楽を追求しました。ブルース・フィーリングと黒人的なグルーヴ感を除去すると、「トリスターノの音楽が出来上がる」とも言われました。
 マイルス・デイヴィス・ノネットに加わり、『マイルス・デイヴィス/クールの誕生』(Capital)1949-1950年に録音、アルバムは1957年にリリースされた。同作のメンバーで“現存する最後のひとり”としても知られていました。
 70年以上におよぶキャリアの中で、ビル・エヴァンス、マックス・ローチ、チャールズ・ミンガス、アート・ペッパー、チェット・ベイカーなど、数々の巨匠たちと演奏。その共演歴、ディスコグラフィーはそのままモダン・ジャズの歴史でもあります。
 作品としては、HARVARD SQUARE(Storyville,1954年)レニー・トリスタ–ノ派のメンバー編成でスリリングが演奏が展開、INSIDE HI–FI”(ATLANTIC,1957年)”Real Lee(ATLANTIC,1957年)珍しくメロディアスな演奏で楽しめます。“with WARNE Marsh”(ATLANTIC)テナーとのバトル絶好調ですが、アンサンブルが今ひとつかみ合わない印象です。“Very Cool”(Verb 1957年)音のイマジネーションの豊富さ。ウィットに富んだ演奏を展開しています。”TRANQUILITY “(Verb1957年)も寛いだウォームな一種余裕のある演奏です。”Motion”(Verb1961年)「赤のコニッツ」。サックスによるワンホーン・トリオ。ロリンズがお得意としていた楽器編成ですが、ソニー・ダラス(b)エルヴィン・ジョーンズ(ds)テーマの提示がないので演奏が解かりづらくなることも確かですが、いきなりアドリブが始まり、そのまま終わってしまうじっくりと聴かないと曲名すら分かりづらい演奏です。
 その後、ヨーロッパに活動を移しています。
“I ConcentrateonYou”(Steeplechace 1974年)レッド・ミッチェル(b)とのDuoですが、コール・ポーターの作品集でレッド・ミッチェルのピアノも愛嬌です。”Windows “(Steeplechace 1977年)ハル・ギャルパー(pf)とのDuo個性のぶつかり合いが面白いですね。
フランスでの録音、TOOT SWEET”(Owl 1982年)ミッチェル・ペトルチアーニ(pf)とのDuoふたりの緊張感の有る演奏は最高。
 “Sweet & Lovely”(1996年 バドル・ホイール)Charlie Haden(b)とのDuo、日本プロデュースで話題になりました。
サイドメンとしての参加では、Kenny Wheeler(tp)”Angel Song”(ECM 1996年)Bill Frisell(g)Dave Holland(b)とアルバムではひたすら美しく、ドラムがないことでタイム感をなくし、全体のまったり感を聴く作品になっています。
 “Brazilian Serenade”(VENUS 1996年)ボサノバ作品集ですが、彼の繊細な部分にまろやかさがプラスされ聴きやすいです。
“Alone Together”(BN 1996 年)Brad Mehldau(pf)Charlie Haden(b)のトリオ作品、今をときめくMehldau(pf)との共演、ゆっくりとした三位一体の内容です。ECMでの唯一のリーダー名義、”Lee Konitz Live at Birdland”(ECM)スローなテンポですが、名手達の演奏に脱帽です。
 そして最近に至るまでアルバムを続々と出している。2015年1月13日の『チャーリー・ヘイデン追悼コンサート』では、ブラッド・メルドーとリー・コニッツによるブルースが演奏されました。
何よりも時代を超え、世代を超えて、素晴らしい音楽を届けてくれたリー・コニッツを見送りたいです、ありがとう。
イメージ

イメージ

イメージ




ご連絡先