野口医院
2019-4-28

4月のレコードギャラリー( ミシェル・ルグラン)




 今月は、フランス音楽界の大巨匠ミシェル・ルグランです。
 今年1月26日パリで86歳で死去の訃報にエマニュエル・マクロン仏大統領は「無限の天才。フランスの最も偉大な音楽家の一人だった。」とコメントしています。
 ミシェル・ルグランといえば知らない者がないフランス映画音楽界の大巨匠。「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」「華麗なる賭け」「おもいでの夏」等々、繊細と大胆、エモーションとエレガンスが美しく共存したその音楽は、一度度は耳にしたことがあるはずだと思います。三回のアカデミー賞にも輝いています。
 日本映画では、「火の鳥」「ベルサイユのばら」のテーマ音楽を担当、彼曰く「すべての音楽に興味がある。音楽は分類しないで楽しむ。」 その一方で彼は、オーケストラの指揮者、映画音楽やシャンソン作曲家、またきわめて優秀かつ個性的なジャズ・ピアニスト/編曲家でもありました。ある意味ジャズの伝統にとらわれずにクラシック的なテイストをふんだんに盛り込んだアレンジは、本場アメリカのジャズマンや批評家からも高く評価され、ルグランの名は今もジャズの歴史に輝いています。
 最初のジャズ・アルバムにして最高傑作、その名も「ルグラン・ジャズ」です。時は1958年の晩春。ルグランは約1ヶ月半にわたるアメリカ旅行に出かけます。名目は新婚旅行。しかし真の目的は、当代随一のミュージシャンを集めて、自分の編曲によるジャズ・アルバムを録音することでした。レコード会社の全面的な協力のもと、この夢の企画は順調に滑り出したのでした。
 ただ、ルグランの夢を完璧なものにするために絶対に欠くことのできない人物。それは、マイルス・デイヴィス。1940年代後半からルグランにとってアイドルであり続けたマイルスは、このレコーディングのキーマン、彼がいなければ企画の意味そのものがなくなってしまうほどの重要な存在でした。そこで一計を案じたルグランは、レコーディング曲のスコアを携えひとりマイルスの自宅を訪問、作品のコンセプトやメンバーについて懇切丁寧に説明。ようやく納得した帝王が参加、苦労の甲斐あって、完成したアルバムは、50年代末のジャズ・シーンにあって、きわめて特異な輝きを放つ作品となりました。中でも圧巻は、やはりマイルスが参加したトラックで、二人の偉大な才能の出会いがなければ生まれなかったであろう唯一無二の演奏になっています。“ジャズとクラシックの融合”それでいて曲本来の優美感を損なわない独創的なサウンドを創り上げています。映画音楽では「ビリー・ホリデー物語」のサウンドトラックを担当しています。当時アメリカの黒人ミージシャンがやるべきという批判の声も有ったようですが、監督から‘’本当のアメリカ音楽あなたしかいない“として推薦。「ミシェル・ルグラン自伝」によれば、ジャズにのめり込みはじめた16歳の時、ルグランは「交響曲作家か、バップ作曲家か、どちらの道を取ろうか? どうやって選ぼうか?
 あるいは、そもそもなぜ選ぶのか? と悩んだようです。そしてデュ—ク・エリントン、ギル・エバンスなどを尊敬し若くして才能を開花させました。彼のジャズアルバムでは、アルトのフィル・ウッズをフィーチュアした「イメージ」「ライブ・アット・ジミーズ」特に後者では彼のボーカルが聞かれます彼らしい暖かい歌い回しには好感が持てます。また「You Must Believe in Spring」でのウッズは彼の最高の演奏といえるのではないでしょうか。ボーカルではリナ・ホーンとの共演指揮とアレンジを担当し盛り上ています。フランキー・レインやサラ・ボーンとも共演しています。ルグランのジャズは、フランス人が編曲指揮するあくまでフランス風ジャズである事です、これが立派だと考えます。ご冥福をお祈りいたします。
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