野口医院
2019-2-22

2月のレコードギャラリー(ジョー・パス)




 今月はギターの『Virtuoso(巨匠)』ジョー・パスです。9歳でギターを始め、14歳でバンド活動を開始。その後麻薬中毒で苦しみ、20代の頃は麻薬におぼれて長期間を刑務所暮らし、出所後も麻薬療養施設生活が続きました。その施設の名前がシナノン(Synanon)といい、この更生施設で立ち直り、そのため意外なほどデビューは遅く32歳、パシフィックジャズのオ—ナ—のリチャード・ボックに認められ、1962年にアルバム『サウンド・オブ・シナノン』発表。1965年には敬愛しているジャンゴ・ラインハルトに捧げたアルバム『フォー・ジャンゴ』を制作、話題となりました。その後は順調にレコーディングをこなし、ダウンビート誌の新人賞を受賞。その頃、ノーマン・グランツが、大きくなり過ぎたヴァ—ブ・レコードを売り払った資金で1972年、ある意味趣味性の高いパブロレベールを立ち上げた事でパスも契約する事になりました。1973年発表した、スタンダードナンバーを中心にギター・ソロという冒険のアルバム『ヴァーチュオーゾ』は、ギター一本だけで制作、ジャズにおけるソロ・ギターの可能性を追究した作品として高く評価されました。ギター一本でこんなに豊富なサウンドが生み出され、こんなメロディラインをギターで出来るのか。初めて聴いた時は、感動したのを思い出されます。“Round Midnight”など名曲がパスのギターでの演奏が、ぴったりとくるわけです。このシリーズは相当好評だったようでその後#4まで続きます。後ソロでは、『I Remember Charie Parker』(PABLO/1979年)『UNFORGETABLE』(PABLO/1992年)など繊細さと大胆さが見事ですね。
 エラとの『Take Love Easy』『Speak Love』など二人の掛け合いは素晴らしいですね。
 でも正直、エラやピーターソンと演奏している時のパスは、控えめでセンシティブなプレイでより暖かく感じるのですが、私だけでしょうか。
 『The Trio』(PABLO/1977年)オスカ—・ピ—タ—ソン(pf)ニ—ルス・ペテデルセン(b)とのロドンハウスでのライブ盤は三位一体で冴え渡っています。『NORTHSEANIGHTS」(PABLO/1979年)ペテデルセン(b)とのDuoなどは鳥肌ものです。
 またステファン・グラッぺリ(violin)ペテデルセン(b)とのトリオ、コペンハーゲンのチボリガ—デンでのライブ盤、弦楽器のみの構成のユニークさ、知的で洗練された演奏は、ジャズの醍醐味に溢れています。『BLUES FOR TWO』(PABLO/1982年)ズ—ト・シムズ(ts)とのデュオ、"Dindi"でのゆったりとしたバッキングは素晴らしい。ブラジルのパーカッショニスト、パウリーニョ・ダ・コスタとの78年の共演盤。ジャズ・ボッサ作品ですが、ブラジルの代表的なボッサのカバーを中心に旋律が心地良く、全編通してリラックス出来ます。
 またハ—ブ・エリス(g)とのPABLO盤、CONCORD盤、双頭デュオも楽しいですね。またカナダTELARC盤でのアンドレ・プレビン(pf)レイ・ブラウン(b)とのトリオはベテランとなった3人のいぶし銀の演奏が聴けます。
 彼の内に秘めた熱い歌心がテクニックだけでなく、ギターに乗り移るかのように奏でられています。彼曰く「間違ってた音を弾いてしまったら、次に弾く音で正しいものにしない。」と彼らしいコメントです。1994年65歳、肝臓癌で他界しています。
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