野口医院
2019-1-19

1月のレコードギャラリー(ナンシー・ウィルソン)




 新年明けましたおめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
 今年最初は、昨年12月13日に亡くなった女性ボーカル、ナンシー・ウィルソンです。

 彼女をライブで見たのは約20数年ぐらい前になります。黒人特有の熱っぽさや強いアクを適度におさえ、知性的な表現力を持ち、ポピュラリティーで美形とも合いまし貫禄の歌唱力を披露していました。

 59年初リーダー「Like In Love」ビリー・メイOrch 、「Yesterday’s Love Songs・Today’s Blues」ジェラルド・ウィルソン Orchなど大編成も素晴らしいと思いますが、小編成をバックに歌うナンシーが好きです。

 アルトサックスのキャノンボール・アダレイの紹介からCapitolに多くの作品を残しています。「The Swingin's Mutual! 」ジョージ・シアリングとの共演盤、「Lush Life」 や「But Beautiful」でのスロー・ナンバーで、アーヴィング・バーリンの楽曲ですが、彼女の繊細さが,ロン・カーターのベースがヴォーカルに絡んでいっそう切なく感じます。またアダレイ・クインテットとナンシー・ウィルソンの競演盤。もちろん彼女の歌声も素敵なんですが、このクインテットの演奏、今回聴き直して、こんなに凄いバンドだったんだと改めて感心します。なかでも名演ですね。

 生前彼女は「私はソング・スタリストで歌いたいと思った曲を歌うの」とも語っています。70年代にはR&Bやファンクの世界でも活躍。2004年のインタビューでは「私が何を歌うか、キャピトル・レコードは一度も口を出さなかったわ。私を“別の誰か”に仕立てるような人は誰もいなかったのよ」とも言っています。81年には“オーレックス Jazz Fes”でのハンク・ジョーンズユニットでの演奏、日本企画”Interface レーベルからもグレート・ジャズ・トリオや佐藤允彦(pf)ユニットでの録音も秀作だと思います。以前佐藤氏のライブを企画した時に「ジャズという枠にとらわれずに、より自由に歌い表現する強さの有る人」と言われいたと記憶しています。

 またドラムスのレニー・ホワイトプロデュース「Echoes Of An EraⅡ(82年、ELEKTRA)」メンバーChickCorea(pf)Stanley Clarke(b)Lenny White(ds)Joe Henderson(ts)フォー・ビートで、当時の若手をバックにこころゆくまで演奏共々素晴らしいですね。また84年CBSからStanley Clarkeプロデュース「The Two Of Us」ラムゼイ・ルイスとの競演盤、当時としてはかなり多彩な企画です。

 彼女は、公民権運動にも積極的に関わり、1993年には非暴力社会のための「Martin Luther King Jr. Center」にその功績が認められ、1998年には「NAACP(全米黒人地位向上協会)」から「Hall of Fame Image Award」を受賞しています。

 生前最後の作品は、グラミー賞「最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞」を受賞した2006年のアルバム『Turned to Blue』、本人は「ジャズ歌手」と呼ばれるのを嫌っており、自身のジャンルに関してはあくまで「ソング・スタイリスト」と表現しています。彼女のバブル期のような楽曲編成&音作りを懐かしく想いながら聴ける1枚。

 尚、本人の意向で葬儀は営まれず、誕生月(1937年2月20日生まれ)でもある本年の2月に「生誕を祝う会」が行われるそうです。
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